衣川晃弘大先生の見聞会講話集「21世紀を幸せに生きる」第8巻より
2015年(平成27年)8月9日 ベストグループ九州地区見聞会 ①
九州の皆さん、おはようございます。人間は一つの節目で成長するチャンスがあるのです。私はこの世界へ来て二十一年になります。二十一年の中で何回かは壁がありました。その壁を乗り越えるか、その壁の前で砕け散るかのどちらかなのです。壁を乗り越えた方だけが、より素晴らしい人間になっていきます。しかし、壁から逃げる方はまた同じ繰り返しをするのです。
私はもうすぐ七十一歳になるのですが、人生七十年の中でどれだけ壁があったでしょうか。壁を乗り越えて、乗り越えて、ここまで来ました。壁があったからこそ、強く、立派な人間になれるのです。壁があってそこから逃げる人と、乗り越える人の二通りあると思います。私はどちらかと言えば、艱難辛苦があると乗り越えるというタイプです。
人間は色々な人がいます。しかし、同じ考えの人は誰もいないのです。あなた方が人の言葉で迷うということは、まだ自分の考えを本物にしていないということではないですか。今の私は、誰が見ても迷うことはありません。人類のために役に立つことをさせて頂いているのに、何の迷いがあるのですか。しかし、迷った時もあったのです。インドの愛する偉大なる御方(おかた)から頂いた使命を自分のものにしていなかった時は迷いがありました。「日本が道徳に満ちた国になる事と命を大切にする国になる事により、真理の国になることを心から願い、お手伝いをさせて頂くことが私たちの目的(使命)」ですから、使命を自分のものにしない限りは、迷うのは当たり前だと思います。
皆さんは「命」という言葉があることは知っているでしょう。命は本当にあるのかが分かる方は、ほんの僅かな方だけなのです。命があるから「命」という言葉があるのです。命がどのような方か、どのような偉大なる存在かを、皆さんは知っていないのです。私は、命はどのような存在かが分かった一人かも知れません。それが分かるまでは相当の努力をしてきました。
三歳までに母親から教えてもらったことは身につくのです。三歳から小学校へ行くまでに父親から教えてもらったことも、また身につくのです。小学校へ行くまでに親が子に何を教えたかによって、その子の人生が決まるのです。もしも私が少しは良い人生を歩ませて頂いたならば、育ての母の教えが良かったからでしょう。
生みの母は、私が二歳半の時に私を置いて出ていきました。育ての母が嫁いで、最初に教えてくれたことは「一番大事なのは命だよ」ということを、未だに覚えています。「お母ちゃん、命ってあるのか?」と聞くと「あるよ」と言いました。小さい時に教えられたことを子は信じるのです。「命って形があるのか?」「命には形もあるんやで」「へ~、お母ちゃん、大きさってどれだけ?」「一寸の虫にも五分の魂と言って、一・五センチの大きさやで。丸いんやで。光っているんやで」と、母は具体的に教えてくれました。そうすると、子供は素直ですから信じるのです。「命があるから生きられるんやで。人間は命がある限り生きられるように創ってあるんやで。この世で一番大事なのは命なんやで」と教えてくれました。
小さい時に命の存在を信じていた私は、何の心も揺らぎませんでした。あなた方は命の存在を知らないから、朝から晩まで揺らいでいるのではないですか。命の存在を知らないから、損得で生きている方が多いのではないですか。命の存在があるということを大人になってから教えられても、大人は中々信じられないのです。大人になると五感を通してしか認めなくなるのです。五感とは、見る、聞く、嗅ぐ、味わう、触れるといった、体に感じたことしか認めないようになってくるのです。ですから、命の存在を教えられていない方は、見えるものしか信じなくなっていくのです。
では、人間性は見えないではないですか。見えるものしか信じない方は、人間性を重んじていないのです。見えないものを信じる方は、人間性の大切さを知っているのです。そのような方は「人格が一番大事です」と言うのです。
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